しこり・できもの
しこり・できものの概要
皮膚や皮膚の下に触れる「しこり」や「できもの」は、年齢を問わず多くの方が経験する症状です。触るとコリっとした塊を感じたり、見た目にふくらみがあったりするものを総称して「しこり」「できもの」と呼びます。医学的には「腫瘤(しゅりゅう)」といいます。腫瘤とは、体の一部にできる塊やふくらみのことを指す言葉です。
しこりには、やわらかいもの、硬いもの、動くもの、動かないもの、痛みを伴うもの、まったく痛くないものなど、さまざまな種類があります。ほとんどは良性(がんではないもの)ですが、中には悪性(がん)の可能性があるものもあります。そのため、「痛くないから大丈夫」と自己判断せず、気になる変化があれば医療機関で確認することが大切です
特に、急に大きくなってきた、赤く腫れている、熱を持っている、出血している、硬くて動かない、といった場合には注意が必要です。正確な診断には、視診(目で見ること)や触診(触って確認すること)、必要に応じて超音波検査や血液検査などを行います。
しこり・できものの原因
しこりやできものができる原因は大きく分けていくつかあります。
1.皮膚のトラブルによるもの
皮脂(ひし:皮膚から出る油分)が毛穴につまり、袋状にたまることでできる「粉瘤(ふんりゅう)」はよく見られるしこりの一つです。触ると丸く、皮膚の下にコロコロ動くことが多いのが特徴です。
また、にきびや毛包炎(もうほうえん:毛穴の炎症)が悪化すると、しこりのようになることもあります。
2.脂肪や組織の増殖
「脂肪腫(しぼうしゅ)」は、皮膚の下の脂肪細胞が増えてできる良性の腫瘍です。やわらかく、押すと少し動くのが特徴です。痛みはほとんどありません。
3.感染や炎症
細菌感染などによってリンパ節が腫れることがあります。リンパ節は体の免疫に関わる組織で、風邪やのどの感染などでも首やわきの下にしこりとして触れることがあります。
4.外傷や刺激
ぶつけた後に血液がたまってしこりのようになることがあります。これを血腫(けっしゅ)といいます。
5.腫瘍(良性・悪性)
細胞が異常に増殖してできる腫瘍も原因の一つです。多くは良性ですが、まれに悪性腫瘍(がん)であることもあります。硬く、動きにくく、徐々に大きくなる場合は慎重な評価が必要です
しこり・できものが引き起こされる病気
代表的なしこり・できものを伴う病気には次のようなものがあります。
- 粉瘤
- 脂肪腫
- 毛包炎
- にきび
- リンパ節炎
- ガングリオン(関節近くにできるゼリー状のしこり)
- 線維腫(せんいしゅ:皮膚の線維成分が増える良性腫瘍)
- 皮膚がん
- 悪性リンパ腫
粉瘤は、中央に小さな黒い点(開口部)が見られることがあり、炎症を起こすと赤く腫れて強い痛みを伴います。
ガングリオンは主に手首などにできることが多く、押すと弾力があります。
リンパ節の腫れは、感染症による一時的なものが多いですが、長期間続く場合や複数箇所にみられる場合は精査が必要です。
皮膚がんは頻度としては多くありませんが、形がいびつ、色が不均一、急速に大きくなる、出血しやすいなどの特徴がある場合は注意が必要です。
しこり・できものの処置や治療法
治療は原因によって異なります。
1.経過観察
痛みがなく、大きさが変わらない良性のしこりの場合は、定期的に経過を見ることがあります。
2.薬による治療
炎症や感染が原因の場合は、抗菌薬(細菌を抑える薬)や消炎鎮痛薬(炎症や痛みを抑える薬)を使用します。
3.切開・排膿
粉瘤が炎症を起こして膿がたまっている場合は、皮膚を小さく切開して膿を出す処置を行います。
4.手術による切除
脂肪腫や粉瘤などで、大きくなってきたものや再発を繰り返すものは、局所麻酔で切除することがあります。多くは日帰りで対応可能です。
5.専門的治療
悪性が疑われる場合は、組織を一部採取する「生検(せいけん)」を行い、顕微鏡で詳しく調べます。その結果に応じて専門医療機関へ紹介することもあります。
受診の目安
次のような場合は医療機関の受診をおすすめします。
- 急に大きくなってきた
- 強い痛みや赤みがある
- 熱を持っている
- 出血する
- 1か月以上変化がない
- 全身症状(発熱、体重減少など)がある
特に高齢の方や持病のある方は、早めの相談が安心です。
まとめ
しこり・できものは多くが良性で心配のないものですが、まれに重大な病気が隠れていることもあります。自己判断で放置せず、気になる症状があれば医療機関にご相談ください。
適切な診断と治療により、多くは安全に対応できます。不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。
